「愛する人を失う」という言葉には、恋人であれば「別れてしまうこと」や「誰かに取られてしまうこと」という意味合いがありますよね。片思いなら「振られてしまうこと」や「嫌われてしまうこと」という意味も含まれるかもしれません。
愛する人を失ってしまうのはとても怖いことです。大昔から洋の東西を問わず、かなわぬ恋に身を焦がしては、食べ物がのどを通らなくなったり、気が滅入って病気になってしまう人、中には命を絶ってしまう人も少なからずいました。
古くはギリシャの哲学者も失恋の格言を残していますし、日本でも、ショックで心身ともに病んでしまう平安時代の女性の物語、男女問わず悲しい恋を詠った和歌など、いつの時代も失恋に傷つく人の心は変わりありません。
しかし、愛を失うことを恐れるあまりに愛そのものから遠ざかってしまうのは、人生の喜びの半分を失ってしまうことと同じです。
恋が実り、愛し愛される経験をしたことがあるなら、愛が世界をバラ色に染め、生きる意味をも変えてしまうということを否定する人はいないでしょう。
人を愛することは、人を心から想うこと。
愛する人ができると、人は一切の損得を考えず、ただひたすらその人のために行動することができます。たとえ想いあうことにならなくとも、誰かを愛し、その人を幸せにするために生きた時間はとても尊く、多くの新しい経験が人を成長させるのです。
テニスンの恋愛格言にもあるように、人を愛すことを恐れず、立ち向かってください。愛を知ったあなたは、必ず、強く美しく成長します。
失恋してしまったら?
大丈夫、世の中の半分は異性ですから。また素敵な恋をはじめればいいんですよ!
今週の恋愛格言をのこしたのはイギリスの詩人アルフレッド・テニスンです。ヴィクトリア女王統治下のイギリス帝国絶頂期に活躍し、19世紀のイギリスを代表する国民的詩人といわれています。その美しい韻律を持つ詩はイギリスの民衆にひろく親しまれ、日本でも愛読されています。
牧師の子として生まれましたが、多くの優秀な詩作を行ったことで王室専属の「桂冠詩人」の称号を与えられ、のちに男爵に叙せられました。
「愛する人を失ったとしても、愛を知らずに生きる人生よりずっと意味がある」という言葉は、テニスンが『イン・メモリアム』(追憶の詩)の中で詠んだ詩の中の一節です。
ケンブリッジ大学在学中に知り合った無二の親友が22歳の若さで病死し、その悲しみを17年もの年月をかけて書き綴った長編詩で、イギリス文学におけるもっとも偉大な哀歌とされました。
実際は恋愛を詠んだものではありませんが、現在は恋愛格言として有名になっています。
人を深く愛するという想いは、友情であっても愛情であっても、同じく通じるものがあるものですね。