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彩乃---「草食系男子」。そこそこオシャレでモテるんだけど、恋愛にそれほど積極的じゃない優しい感じの男子。
あたしは、もう少し積極的な男らしい人のほうが魅力的に見えるんだけど……。
わが社のT男(23歳)も、そんな典型的な草食系男子なの。
真央---ホント、彩乃さんの言うとおりですよ。あたしも男は積極的で男らしいほうがいいな!
彩乃---真央の場合、特に肉食系の人が大好きだから、草食系とは対極にあるよね。
さくら---私はけっこう好感を持っていますけどね。女性を意識せずに、誰にでも優しい男性は、全然いいと思いますよ。
真央---え~、女を意識しないような男なんて、物足りない気がするけどな。
彩乃---まあ、恋愛にガツガツしていないところが、さくらみたいな知性派には好感度高いんだろうね。
さくら---そうですよ。そういうのにガツガツしているのって、何か違うかなと思うんですよ。
真央---ガツガツしているほうがいいじゃないですか!積極的で、男っぽくてステキだと思うけどな。
彩乃---まあ、それはともかく、ガツガツ積極的過ぎるのはちょっと…みたいなことをさくらは言うけどさ。じゃあ、T男みたいなのはどうなの?
さくら---確かに、ガツガツしていないし上品だと思いますけど、何か覇気がないというか……。
真央---でしょー。「草食系男子」って、情報とか流行とかで考えると、よさげな感じがするけど、実際に接してみると物足りないところがあると思うな。
やっぱ男は肉食系でしょ!
T男---あの~、そんなに僕って覇気がない感じですかね?
さくら---覇気がないというか、少し仕事に積極性が感じられない気がするかな。
頑張って大きな仕事を任されたいとか、そういう欲求みたいなものはないんですか?
T男---う~ん、そこは微妙だなあ。仕事は大事だと思っているし、手を抜いているつもりはないですけど、誰かを押しのけてまで出世したい、みたいなことは考えたことないですね。
彩乃---まあ、そうでしょうね。ガツガツしていないというのは、別に恋愛関係だけじゃなくて、他のことに対してもそういうことだもんね。
恋愛にはガツガツして欲しくないけど、仕事にはガツガツ頑張って欲しい、みたいなさくらの願望はあり得ないのかも知れないね。
さくら---そういうもんですかね?
彩乃---でも、T男は、最近は草食系男子とか持てはやされて、けっこうモテたりしてんじゃないの?この前も同じ課のK子とデートしてたそうじゃない?
T男---えっ、あれはK子さんの買い物に付き合っただけで、全然デートとかじゃないですよー。
真央---とかいって、「あわよくば」なんて思ってたんじゃないの?
T男---いやあ、全然そんなこと思いませんて。大体、僕って以前からそういう女性からの誘いって多いんですよ。
真央---なのに、下心はまったくないと?それは、男としてどうなの……。
彩乃---アハハ、しょうがないよ、それが草食系男子たるゆえんなんだから(笑)。
そういう下心が感じられないから、女性も安心して誘えるっていうのもあるだろうしさ。でも、そういう男性の恋愛関係ってどんな感じなんだろうね。すごい興味あるよね。そんな草食系男子の恋愛事情について迫ってみたいと思います。
彩乃---最近、人気の「草食系男子」。ガツガツしていないところが人気の秘密らしいけど、いざ接してみると、どうにも覇気がないというか、ちょっと物足りない感じ。
下心がない分、安心なんだけど、そんなんで、いつ女を口説くんだ?っていう気がしないでもないけどね。わが社の草食系男子・T男(23歳)もそんな感じなの。
真央---ホントに女の人と接してても下心とか全然ないの?もしかして、女性に興味がないとか?
T男---う~ん、そんな風に女性に興味がないわけではないんですけど。もちろん女性には興味があるし、美人とか可愛い女の子とか見かけるといいなあって思うよ。でも、そのためにガツガツ行こうとは思わないだけで……。
真央---え~、じゃあ、ナンパとか女性に声かけたりしないわけ?
T男---しないなぁ。男と女なんて、なるようにしかならないわけだから、自然の流れに任すしかないと思うよ。
彩乃---まあ、なるようにしかならないっていうのは、わからないでもないけど、無理を通そうというところに心意気を感じて、女は男に惚れたりするからねー。
真央--- そうですよー。自分のために無理をしてくれない男なんて、物足りない気がするけどな。
T男---別に女性に対して愛情が薄いとか、そういうわけじゃ全然ないんだよ。ただ、大事なのは恋愛だけじゃない、というか、恋愛も自分の興味のあるもののひとつに過ぎないというか……。
さくら---確かに、恋愛至上主義みたいな考えの人もいますけど、そればかりじゃないことくらい、わかりますよ。私だって、恋愛と同じぐらい仕事も大事ですもん。
T男---ですよね?僕にとっても仕事や恋愛は、興味のある分野のひとつなんで、ガツガツするつもりはないんですよね。
さくら---う~ん、ちょっと私とは違うかな。T男さんのはちょっと冷めている感じ。
彩乃---たぶん、T男には恋愛や仕事よりも大事なものがあるんじゃないの?だから、ガツガツしていないんじゃないかな。
T男---う~ん、別にそこまで大事なものはないんですけどね。しいて言うなら、どんな時も自分らしくありたいっていうことですかね。
真央---なんか、訳わかんないこと言ってますよー。
彩乃---ていうか、自分大好きって感じ?
T男---いやいや、要は、仕事とか恋愛よりも、まず自分の趣味嗜好みたいなものを大事にしたいってこと。
さくら---自分なりのこだわり、みたいなこと?
T男---そうですね。
真央---たとえば?
T男---ファッションとか、自分の好きな音楽とか映画とか本とかさ。
彩乃---やっぱり、自分大好きって感じがするね。男性って少なからず、そういう部分はあるかもね。ファッションなんか、女性だと「男性にモテたいから」みたいな部分もあるんだろうけど、 T男の場合は、そういう女性の視線が気にならないんでしょ?
T男---ええ、まったく。無理をしても、自分にとって全然心地よくないじゃないですか。
真央---心地よくなくても、無理をして相手に好かれたら、それが心地よくなるんじゃん!
さくら---恋愛とか女性に振り回されていないのは好感持てますけど、その若さでちょっと冷めている感じが気になりますよね。
T男---自分じゃ冷めてる感じは全然ないですけどね。僕の周りも、みんなこんな感じですよ。それに僕、彼女もいますしね。
彩乃---へえ、そうなんだ。でも、冷めてるかどうかはともかく、なんか捉えどころがない感じだなー。なんでも「そこそこ」な感じで、アピールポイントがないっていうか。それでも女性は惚れちゃったりするのかね?
彩乃---恋愛や女性に対してあまり積極的じゃない「草食系男子」。わが社のT男(23歳)も典型的な草食系。でもそんなT男にだって、ちゃんと彼女がいるんだって。どんな子と付き合ってるんだろ?かなり興味シンシンだよねー。
真央---やっぱり、同じようなタイプと付き合うんじゃないですか。
彩乃---いやいや、草食系だからこそ、逆に「肉食系女子」みたいな子と付き合うんじゃない?
T男---なんスか?肉食系女子って。
彩乃---T男とは真逆の積極的な女性ってことだよ。だって、両方とも草食系だったら、恋愛関係に発展するの難しいでしょ?
さくら---肉食系かどうかはともかく、確かにそれは言えますよね。
T男---そんな……。草食も肉食もないですよ。ふつうの女の子ですよ。
真央---そもそも、2人の“なれそめ”って、どんな感じだったの?
T男---彼女のほうから声をかけてきて、それで意気投合して、みたいな。
真央---彼女のほうが積極的だったんだね。
T男---彼女が積極的というか、僕がそんなに女性に声をかけたりしないんで。
真央---じゃあT男さんの場合、恋愛関係の主導権って、ぜんぶ女性が握っているんですか?
T男---そんなことないですよ。ちゃんと僕のほうから告白したし、女の人を口説いたりもしますよ。あくまでも「自然の流れの中で」、という前提があってですけどね。
真央---強引に口説いたりはしないんだ?
T男---強引ってどんな感じ?
真央---いったん断られても、再チャレンジするとか……。
T男---ないかな。だって、女性がイヤだって言ってるのに、無理強いするのはよくないかなぁって思うんで。
彩乃---ずいぶんアッサリしてるんだね。もうちょっと、粘ってもいいんじゃないの?
さくら---でも、私はT男さんみたいなタイプのほうが好感持てますよ。「イヤよイヤよも好きのうち」って言いますけど、本当にイヤな場合もありますからね。それを勘違いしている男性もいますから。
T男---そうそう、僕は、そういうふうにはなりたくないんだよ。
彩乃---しかし、T男みたいな男子が増えてきたのって、不況とかとも関係あるのかな?こう世の中が世知辛いと、テンション下がって何事に対しても、ガツガツいくっていう風にはならないだろうし。
先立つものがないから男性も女性にいい格好できないし、自然体でいくしかないのかも。でも、あたし的には、男性は積極的であってほしいけどね。
彩乃---わが社の草食系男子・T男(23歳)の恋愛観を聞いてきたわけだけど、恋愛に対して、けっこう淡白な印象。
不況という時代を反映しているといえば、それまでだよね。だけど、こんなご時世だからこそ、もうちょっと貪欲にというか、覇気がほしい気もするし。
真央---ホントですよね~。で、T男はデートのとき、どこ行くの?
T男---別にどこにも行かないねー。だいたい、どちらかの自宅で過ごすことが多いよ。
真央---え~、全然出かけたりしないの?ディズニーランドとか行ったりするものでしょ。
T男---いやー、出かけちゃうとお金かかっちゃうし、別に2人でいれば、どこにいても楽しいよ。
さくら---それはそうなんだけど……。でも、なんかこう、イベント的なものが時々あったほうが、盛り上がるんじゃないですか?
T男---んー、そうですかねえ。そういう盛り上がりは、僕は、あんまり求めていないんで。流行りのスポットに行ったりするのって、無理してるっていうか、背伸びしてる感があって、あんまり好きじゃないんですよ。
彩乃---まあ、必要以上に背伸びしないという考え方はいいと思うけど、ちょっとテンション低すぎない?恋愛って、もっと盛り上がるものでしょ。少しは彼女のために、無理してみてもいいんじゃないの?
真央---そうだよ~。そういう付き合いばかりだったら、あんまり恋愛してる感じがしなくなると思うんだけど。
さくら---確かに。あんまり必然性がないような……。
T男---必然性というか、恋愛と同じくらい大事な人間関係だってありますからね。
真央---恋愛に勝る人間関係なんて、あたしはないと思うけどな~。
T男---そんなことないよー。友だち関係とか、親との関係もあるじゃん。
真央---え~、彼女よりも親が大事なわけー?
T男---どっちがというわけじゃないけど、母親のことは大好きだよ。よく母親と2人で出かけたりするし、誕生日や母の日には必ずプレゼントしてるしね。
彩乃---でも将来、結婚して奥さんと母親がモメたりしたら、どっちの味方するのかね?
T男---奥さんも母親も自分の家族じゃないですか。どっちがとかないですよ。ていうか、モメたりしないし。
さくら---まあ、嫁と姑の争いみたいな話はともかく、私、T男さんの話を聞いていて思ったんですけど、T男さんって、家族とか恋人とか親友とか、人間関係が内へ内へと向かっているような、感じがするんですよ。人間関係を外に広げていこう、という動きが見えないんですよね。
T男---あー、確かにそういうところありますね。あまり知らない人は信用できないというか、自分に危害を加えるんじゃないか、みたいに思ってしまうところはありますよ。
真央---危害を加えるって?
T男---例えば会社ですよね。こういうご時世だとリストラに遭ったり、同僚はライバルだったりするわけでしょ。世知辛い世の中だと、自分の身近な人たち以外はいつ敵になってもおかしくないなんて状況だってあると思うんだよね。でも、僕は他人と争うのは嫌いだし……。
さくら---だから、自分の身近な人との人間関係を、ことさら大事にしたくなるわけですね。要は、厳しい社会から自分を守るため、みたいな……。
T男---そうなんですよ。結局信じられるのは、というか、心が休まるのは家族や恋人、親友の前だけ。だから、そういう人間関係は何にも代えがたいですよね。
彩乃---しかし、そういう大変な現代を生き抜いてこそ「男」って感じもするね。まあ、そうならないところが「草食系」たるゆえんなんだろうけど。
ギスギスしたところに、真っ向からぶつかるんじゃなくて、なんとなく、やり過ごしちゃうというのも、不況の世の中を生きる知恵なのかもしれないね。