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彩乃---自分で言うのも何だけど、あたしって全然モテないんだよねー。
モテるためにファッションや立ち居振る舞いとか、それなりに気を遣ってるんだけど、なぜか全然モテない。
ルックスだって、そんなに悪くないと思うし、三十路手前にしては若く見られるんだけど、やっぱりモテないんだよね。なんでだろ!?
真央---あー、それわかりますよ。 あたしだってこんなにカワイイのに、全然モテないんですからー。
さくら---そう言われれば、私も全然モテないような気がします……。
彩乃---ハア……(ため息)、なんでだろうねー。こんなイイ女が3人も揃ってるのに、全然モテないなんて。どう考えても、自分より可愛くない子に彼がいたりするわけじゃん。全然納得できないよね!
さくら---でも、人の好みはそれぞれですから。彩乃さんも真央ちゃんも一般的に美人の範疇に入ると思いますけど、「一般的」な価値基準って、こと恋愛に関しては、あんまり当てにならないのかも。
真央---じゃあ、さくらさんは美人よりも美人じゃない子のほうがモテるって言うんですか!? だとしたら、あたしなんて可愛く生まれた意味がないじゃないですか!
彩乃---そういう傲慢な発言をすること自体、すでにモテないような気が……。
でも、さくらの言う通り、一般的に美人といわれている価値基準って、必ずしもモテる条件じゃないような気がするよね。
真央---じゃあ、どうすりゃモテるんです?
さくら---男性と女性を入れ替えて考えてみると、よくわかると思うんですけど、女性だって必ずしも一般的にイケメンと呼ばれるような男性を好きになるわけじゃないですよね。
彩乃---確かに。「いいな」って思うことはあっても、必ずしも惚れちゃうわけじゃないよね。
さくら---ですよね。好きになったり、付き合ったりする人って、必ずしも一般的な基準ではかって選んだりしませんもんね。
真央---そうですか?あたしなんて、イケメンは大好物ですけどね。
彩乃---いやいや、アンタが言うイケメンはムキムキのマッチョじゃん。世間一般でいうイケメンとはちょっと違う気がするけど。
真央---そりゃ、それがあたしの好みなんだからしょうがないじゃないですか。
さくら---そこよ、そこ!
真央---何ですか? 急に大きな声出して……。
彩乃---結局、イケメンだとか優しいとか、一般的な価値基準はともかくとして、自分が惚れるツボというのは別のところにあるということだね。
さくら---そうなんです。確かに、美人は合コンとかじゃ持てはやされたりしますけど、それが恋愛に結びつくかというと、必ずしもそういうわけじゃないですよね。
彩乃---まあ、それはモテてると言えるけど、人気があると言ったほうがより適切だよね。
真央---でも、人気があるほうがないよりはいいんじゃないですか? そっちのほうが男性を選ぶ選択肢が多いわけだし。
彩乃---そりゃ、そうなんだけど、実際には男性側の選択肢に入ってなかったりするわけだよ。一般的な美人って、男性からすると恋愛対象としてスペシャルな感じがしないのかもね。
さくら---そうだと思います。自分の体は一つしかないわけだし、不特定多数の人気を集めても仕方がないわけですよ。
彩乃---要は、恋愛にとって本当に必要なのは、自分の本質や個性を好んでくれる男性を見つけるということだよね。その意味では全方位的にモテることよりも、自分だけを愛してくれる男性と出会うことのほうが大事。つまり、「あたしマニア」をいかに見つけられるかなんだよね。
自分を殺して不特定多数にモテても窮屈なだけだし、自分の個性やユニークなポイントに反応してくれる男子を探したほうが効率いいし、恋愛の充実度も深いはず。
真央---とはいえ、ちょっと変わってるくらいなら、そういうのもアリだと思いますけど、彩乃さんくらいまでいっちゃうと、なかなかわかってもらえる男子っていないんじゃないですか?「彩乃マニア」なんて、そうそういないと思いますけどねー。
彩乃---真央には、そんなこと言われたくないよー。真央みたいな変わり者だって、理解してくれる男性なんていないって!
さくら---まあまあ、それが個性ですから、きっと理解してくれる人が現れますって。
彩乃---何、上からモノ言ってんのよ!
真央---そうですよ。さくらさん、もしかしたら変わり者は彩乃さんとあたしだけで、自分はフツーだとか思ってません?
さくら---まあ、私が普通かどうかはともかく、おふたりほどではないような気が……。
彩乃---何言ってんのよ! さくらも十分変わり者なんだって。いまどき、仕事命でお堅い女を主張してたら、誰も相手にしないよー。
真央---そうですよー。「男を寄せ付けない度」で言えば、あたしや彩乃さんよりもずっと上ですよ!
さくら---ひどい……そんな言い方しなくても。
彩乃---上から目線で言うからでしょ。
真央---しかし、こんなことを言い合ってるわけだから、やっぱり「自分マニア」の男を探すより、不特定多数にモテたほうがいいんじゃないですかね?
彩乃---う~ん、確かにそれは言えるかも。
真央---そもそも、不特定多数にモテる一番のメリットって何ですかね?
みんなにチヤホヤされてイイ気分になれるってこと?
さくら---そういう単純な話じゃなくて、多くの人たちに好かれれば、それだけ男性を選ぶ選択肢が増えるということでしょ。
真央---あっ、そうか。いるかどうかわからない「自分マニア」の男を探すより、不特定多数にモテた中から自分好みの男性を探すほうがやっぱ効率よくないですか?
彩乃---だから、あたしらはキャラ的に不特定多数にモテるのは無理なんだって。それは今までの恋愛戦歴を見てもわかるでしょうに。
真央---それはそうなんですけどぉ……。
さくら---全方位的にモテなくても、局部的にモテればいいということですね。最終的には、ひとりの男性に長く深く愛されればいいわけですもんね。
真央---でも、堂々めぐりになっちゃうんですけど、特にあたしらなんて「自分マニア」の男性に出会うなんて、そうそう高確率じゃないわけですよね。 そもそも出会いの機会が少ないと厳しいんじゃないですか?
彩乃---問題はそこだよねえ……。確かに「自分マニア」を見つける前に、そういう人たちとどこで出会えるかが問題だよね。う~ん、どうしたものか。
彩乃---恋愛のキモは、全方位的にモテるんじゃなくて局部的にモテること。要は「自分マニア」の男性を見つけることにあるわけだけど、問題はそういう男性をどこで見つけるかだよねえ……。
そもそも、普通の男性との出会いさえ少ないっていうのに、ピンポイントで「自分マニア」の男性と出会うなんて、至難のワザだわ。
真央---そうですよ~。「自分マニア」の男性と出会うのをただ待ってるだけだったら、今までと何も変わらないわけだし、普通の出会いを求めてるのと違わないですもん。だったら、全方位的にモテたほうが効率いいですよねー。
さくら---確かに、それは真央ちゃんの言う通り。
彩乃---「自分マニア」の男性と出会うには、どうしたらいいかということを考えなきゃいけないわけだ。
真央---そこを何とかしなきゃ意味ないですもんねー。
さくら---まず、自分のどんな部分が男性にアピールしているのかを把握すべきだと思うの。
彩乃---それも、自分が今まで気づかなかった魅力というか、自分の中の何が男性のフェチ心を刺激するのかを知っておくべきだよね。
真央---でも、自分でも気づかないアピールポイントなんて、どうやったら把握できるんですか?
彩乃---まあ、過去のモテ体験を総動員して、どんな男にモテてきたのか、そして彼らの共通点は何で、どういう女性がタイプなのかを分析していくと、自分のアピールポイントが見えてくるんじゃないかな。
真央---そこまでしなくちゃいけないの!?
彩乃---「自分マニア」の男をゲットするには、そのくらいの努力は必要だよー。
さくら---飲み会やパーティーなんかの、さまざまな男性と無差別に出会える場所に行ってみると、その傾向と対策も見えてくるんじゃないかしら。
真央---無差別に飲み会に行ってみるなんて、今までと全然変わらないじゃないですかー。
さくら---だから、ただボンヤリと行ってもダメなの。そういう場所に行く時は、ちゃんと戦略を持つべきだということ。
彩乃---漫然と出会いを待ってるだけじゃダメだということだよね。
真央---なるほどー。で、傾向と対策が見えてきたら、次はどうすればいいんです?
彩乃---自分を好きな男性のタイプがわかったわけだから、そういう男性がいそうな場所にこまめに顔を出すってことかしら。
さくら---そうすれば、「自分マニア」の男性と知り合える確率がグッと高まるわけ。
真央---えー、そこまであれこれ考えなきゃ恋愛ができませんか!? イヤだなー。
彩乃---ふとした拍子で「運命の人」と偶然出会うなんてことは、ドラマとか映画の中だけなんじゃないの?
やっぱり、いい出会いというのは、それなりに努力しなきゃ得られないと思うの。
それには自分自身のことをよく知るべきだし、魅力的な女性になるために自分を磨くことも必要だし、「待ちの姿勢」だけじゃ恋愛の成就なんてままならないよね。
もっとも、これは恋愛に限らず全てのことに当てはまると思うけどね。