今回登場する田辺さん(32歳・仮名)は、自称「すぐ結婚したがる男」。
女性と付き合うとすぐに結婚したがる性格が災いしてか、恋愛が上手くいかないのだそう。
なぜ、そんなに結婚を焦るのだろうか?
「別に結婚を焦っているわけじゃないんですけどね。女性と付き合うと、 すぐに結婚したくなっちゃうんですよ。やっぱりお互い好きで付き合っているわけだから、 ずっと一緒にいたいとか思うじゃないですか。そんな変だとは思わないんですけどねえ」
男が早く結婚したがるとき、たとえば、海外赴任とか仕事や個人的な都合などで
「早く配偶者を持たなければ」という状況だったりすることがある。
だが、田辺さんの場合は、 そういう事情があるわけでもないようだ。
ちなみに、付き合ってどのくらいで結婚の話を持ち出すのだろうか。
「付き合って2カ月以内で、もう結婚の話をしますね。本音を言えば、結婚前提で女性と付き合っていますから、 付き合った瞬間に結婚のプロポーズをしたいぐらい(笑)。でも、それが女性になかなか理解されない。 軽々しく結婚を口にしすぎるって…。でも、自分で言うのも何なんですが、 こんな誠実な男はいないと思うんですけどねえ。女性には逆に受け取られるみたいで」
結婚とは一生の問題だ。いい大人だったら、単に「好きだから」とか「愛している」とかだけで結婚に突っ走るわけにはいかない。
男性が女性にプロポーズする場合、住居の問題やお互いの家族のこと、仕事や将来のことなど、結婚の前に様々な確認作業があるもの。
そのあたりは、どう考えているのか。
「それはそうですけど、そういう問題はお互い愛し合っていれば、 おのずと解決できることだと思うんですよ。それよりも、 まずは結婚したいという気持ちが大事なんじゃないでしょうか」
まあ、それはもっともだが、女性としてはもう少し慎重にいきたいと考えるのが人情なのでは。
そして、何よりも早い段階から結婚の話を持ち出す田辺さんについて、その「本気度」を計りかねているような気がする。
「好きで付き合っているわけですから、そこは僕のことをもっと信頼して欲しいんですよね。 僕が結婚したいと言ったら、それはもう間違いなく本気なわけですよ」
確かに、付き合っている男性に結婚のプロポーズをされて悪い気がする女性は少ないに違いない。プロポーズを受ける受けないはともかく、それで恋愛がダメになってしまうということはあまりないはず。
にもかかわらず、 田辺さんの場合は恋愛自体がプロポーズによって危機を迎えてしまうのだから、 逆に言えば彼の言動に何か信頼が置けないような点があるのかもしれない。
目次
女性と付き合うと、すぐに結婚したくなってしまうという田辺さん。
そうした性格が災いしてか、女性との交際が上手くいかないのが現在の悩み。
「本当に好きでプロポーズすることの何が悪いのか」と不思議がる田辺さんだが、そこには女性が離れていく原因があるに違いない。
前回にも述べたように、結婚というものは当人同士だけの問題ではない。
結婚するためには、 様々な準備や根回しが必要だ。
「あんまり、そういうことは考えたことはありませんね。
『ただ好きだから』 『一緒にいたいから』という勢いで結婚に突っ走ってしまう感じです。だって、まず大事なのは、当人同士の結婚したいという気持ちでしょ」
それはそうなのだが……。とはいえ、「一緒にいたいから」って10代の若者じゃないんだから……。
お互いの仕事のこととか、子供のこととか、どう考えているのだろうか。
もう30歳も過ぎているわけだから、結婚に対するある程度のビジョンは必要だろう。
「いや、特にそういうことは考えていませんね。そんなことは結婚してから考えたらいいじゃないですか」
いやいや、それは大人として少々マズイのでは。
女性が結婚相手をチェックするのは、そういう部分だから。ちなみに貯金とかは?
「限りなくゼロに近いです。結構、趣味とかに使っちゃうほうですから。
でも、そんなの結婚に必要ですか?
だって一応、正社員として企業に勤めているわけだし、フリーターとかではないわけだから、そんな無責任に結婚したいとか言っているつもりはないんですけどねえ」
でも、ある程度、結婚資金を貯めてからとか、何か本気で結婚を決意したんだ、という裏づけになるような行動を起こしたほうがいいのではないか。
女性だって、付き合って間もない頃にプロポーズされても戸惑うばかりだろう。
「しかし、結婚を決意したからといって、自分のライフスタイルを変えたりする必要なんてありますかね。何か取ってつけた感がありませんか?別に今のままで何も問題ないと思うんですけどね。相手のことを好きなのには間違いないんだから」
夫婦生活についての将来設計もノープラン、結婚への準備も一切ナシ、プロポーズを裏づける行動が全くないようでは、女性に結婚の本気度を疑われても仕方ない。
言葉だけで行動が伴っていないのだ。
すぐにプロポーズを口にすることが誠実さの表れと考えている田辺さんだが、女性の受け取り方は全く逆のはず。
そもそも、田辺さんの発言からは結婚したいという自分の欲求ばかりで、相手の女性への気遣いのようなものが感じられない。
田辺さんは結婚について、どう考えているのか?
結婚をしたいという言葉を裏づける行動や準備もないまま、恋人にプロポーズしてしまうため、本人の思いとは裏腹に女性に去られてしまうことを繰り返している田辺さん。
そもそも、彼には普通の男性が感じるであろう結婚に対する責任感やプレッシャーのようなものが感じられない。
「友人たちは、僕のように軽々しくプロポーズできない、なんて言いますけど、逆に、なぜそれほど慎重になるのかわからないですね」
その慎重さに欠ける点が、まさに女性を不安にさせ、信頼を失わせているのでは?
大体、結婚まで考えていた女性に振られると、なかなか立ち直れないものだが、彼に限ってそれは当てはまらない。
1ヶ月もしないうちに新しい恋人を見つけ、また懲りずにプロポーズしているのだ。
よく言えば立ち直りが早いのかもしれないが、悪く言えば節操がないということでもある。
「周りには、本気じゃないから立ち直りが早いんだとか言われますけど、いちいち失敗を引きずっていてもしょうがないでしょ。そこは意識的に気持ちを切り換えているわけですよ」
本気で結婚を考えていたら、そんなに簡単に気持ちの切り換えができるはずがない。
女性からの非難の声が聞こえてきそうだ。
「『家族や友達を紹介してくれないし、自分の家族に会ってくれない』って、女性によく非難されますけどね。そういうのは後回しでいいと思うんですよ」
いやいや、そういうことが大事なんだって。
結婚とは一生の問題だ。一緒に暮らし続けることができるという、ある程度の確信があって、初めてプロポーズするものだろう。たとえば、一定期間同棲してみるとか、確認期間を設けてみるようなことは考えられないのだろうか。
「いやー、同棲なんて無駄だと思いますよ、まどろっこしいし……。とりあえずは結婚したらいいじゃないですか。もちろん結婚した後もいろいろトラブルはあると思うけど、それこそお互い愛し合っているのなら乗り越えられるでしょう」
大体、すぐに結婚したがる男に限って、離婚も簡単にしてしまうもの。
「まあ、相手のことを愛せなくなったら離婚もやむなしではないでしょうか。」
だから、そうならないように、人は結婚に慎重になるのだ。
すぐに結婚したがる男にとって結婚とは、かくも軽いものなのだろうか。結局、田辺さんの結婚への思いはその程度のものだし、相手に対する愛情もそれなりのものでしかないのだろう。その辺りを見透かされているからこそ、女性たちに去られていくわけである。
そして、田辺さん自身がそのことに気づかない限り、結婚どころか女性との真剣な交際もおぼつかないだろう。