女性に優しくすればするほど、なぜか粗末に扱われる男、それが山本さん(30歳・仮名)だ。女性に都合のいい男とでもいうのだろうか。世の中には、そういう男性がいないわけではない。しかし、男が女性に親切な場合、たいがい下心があるもの。山本さんも、そこら辺を女性に見透かされてるんじゃ……。
「もちろん、そういう下心がまったくないわけではないですけど、基本的に、女性にはどんな方でも分け隔てなく親切に接していますよ。それに別に感謝して欲しいとか、自分に惚れろとか、そういうことを言っているわけじゃないんですよ。別に、恩を着せようというわけじゃないですから!」
なるほどー。モテたいから、女性に親切にしてるわけじゃないのね。じゃあ、何で優しく接してるの?
「目の前で女性が困っているんだったら、誰であろうと助けてあげたいじゃないですかー。まあ、だから自己満足みたいなもんなんで、別に自分のしていることに感謝して欲しいとかっていうことはないんですよ。ただ、粗末に扱われる筋合いは、ないんじゃないかと」
粗末に扱われるって、具体的にはどんな感じなの?
「なんか、他の男に比べて軽く見られているというか、低く見られているというか……」
たとえば?
「何かと僕のことを後回しにしたり、『コイツだったらバレても平気』と言わんばかりに見え見えの嘘を吐かれたりとか……」
まあ、でも女性に嘘を吐かれるなんて山本さんだけじゃないし、他の男だってそういうことはあるよ。嘘を吐く理由だって、山本さんを傷つけないためにっていう、善意の嘘だってあるし。
「いやいや、別に僕だって嘘を吐くな、とか言っているわけじゃないんですよ。嘘の吐かれ方が問題なんです。この前も、前から気になっている同僚の女性を食事に誘ったんですが、残業があるからって断られたんですよ。でも残業どころか、実際は僕の友人を含めた何人かで、飲み会に行ったりしていたんですよね」
だから、それは、前から他の人たちが飲みに行く約束をしていたので、角が立たないように「残業」みたいな嘘を吐いたんじゃない?
「嘘でもいいし、飲み会に行ってもいいんですよ。でも角が立たないとか、気を遣って嘘を吐くんだったら、ちゃんとバレないように嘘を吐くもんでしょ。しかも、飲み会のメンバーに僕の友人も入っているわけですから、僕に気を遣っているんだったら、口止めするとかするもんじゃないですか。なのに、そうした形跡は全くない。結局、僕なんかにバレても別に平気っていう、その場限りの嘘を吐いてるわけですよ。別の男性だったら、もっと必死になって嘘を吐くと思いますよ」
被害妄想的な感じもしないでもないけど、確かにその女性は山本さんのことを歯牙にもかけてなさそう。
「まあ、僕はその子に気があっても彼女にはまったくその気はない、ということなんでしょうけど、好意を寄せられていることはわかっているわけだから、もう少し僕のことをちゃんと扱って欲しいですねー。ホント、腹が立つ以前に傷つきますよ~。彼女に限らず、他の女性たちにも酷い扱いを受けてるんですよー」
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「以前、いいなと思っていた女性がいてアタックしてたんですけど、その女性には酷い目に遭いましたねー。ずいぶん貢がされたものです。しかも、結局恋愛は成就できなかったという」
まあ、その程度のことはよくあるんじゃない?
「そうですかねえ?デートは毎回、勘定は僕が持つのは当然として、会うたびにバッグやら洋服やら買わされたりしましたけどね」
ちょっとお金のかかる女性だと思えば、別に腹もそんなに立たないんじゃ……。そんな女性に惚れちゃった自分を恨むべきだと思うよ。
「いやいや、僕だってそれだけじゃ腹も立ちませんよ。好きな彼女のためだったら、お金なんて惜しくないですからね」
じゃあ、何の問題もないのでは?
「ただ、彼女って給料が安くて生活が厳しいからということで、僕が毎月生活費を補填してあげていたんですよね。何か、その辺から雲行きが怪しくなってきたんですけどね」
確かに、それはあやしいね…。
「そうなんですよ。そんなに生活苦しいように見えなかったんですけどね。それに彼女って実家でしたし」
実は実家が貧乏だったとか?なんてことはないか。
「あと、デートをするのはいつも平日のアフター5で、ご飯も食べるだけで、 2人で一緒にいるのは1時間ぐらいなんですよね」
それはご飯が目的かもね…。
「あと、ショップの前で待ち合わせして、洋服を買ってあげただけで、そのままバイバイということもありましたね」
いいようにあしらわれてるね。ていうか、なぜ土日はデートできないの?
「具合が悪いとか、資格試験の勉強があるとか、親戚の冠婚葬祭とか、いろいろ理由をつけるんですけど、まあ、露骨に嘘でしたね」
また、バレバレの嘘を吐かれてるんだ。
「まあ、それぐらいだったら、慣れっこなんで我慢できますけどね。許せないのは、僕が補填してあげていた生活費の使い途なんですよ」
当然、生活費になんて使われてなかったわけだよね?洋服やバッグ代に消えちゃった?それとも何か別の遣い途が?
「実は、彼女には好きな男性がいて、僕が援助した生活費をそのまま男性に貢いでいたんですよ。 僕が買ってあげたバッグとか腕時計なんかも質に入れて、お金に換えて貢いでたんですよね(泣)。あとで、彼女の友人に聞いたんですけど、彼女ってけっこう尽くすタイプで、男によく貢いでは……ってパターンらしいんですよ」
つまりは、山本さんと同じタイプだということだね。そんな同じようなタイプの女性に粗末に扱われる山本さんって……、悲しすぎる。
「そうなんですよ。男性に粗末に扱われる女性にまで、粗末に扱われる僕って何なのか、と」
男女を問わず、異性に粗末に扱われる人っているものだけど、山本さん(30歳・仮名)は特にそう。何といっても、男性に貢いでしまうような女性にも、貢がされてしまうのだから尋常ではない。まあ、山本さんがどうこうではなく、惚れた弱みにつけ込まれただけ、とも言えなくもないのだが……。
「ただ、前にも言ったことがあると思うのですが、好きになるとかならないとかは別にして、基本的に僕は女性に限らず、他人にはできるだけ優しくしようと心がけているんですよ。僕がちょっと我慢することで、他人が心地よい思いができるのなら構わないかなって」
要は「いい人」でありたいんだ。だったら、多少、嫌な思いをしてもしょうがないんじゃないかな?
「もちろん、だから僕に感謝しろ、とか言ってるわけじゃないんです。ただ、粗末に扱われる筋合いはないと思うんですよ。なぜだかわからないんですが、どうもまわりが僕のことを軽く見ているとうか、一段下に見ている感じがするんですよねえ……」
そういう「いい人キャラ」は、そんな風に思われがちかもね。いい人だから何をしても怒らないかなって、みんな思っている。
「その一方で、女性に全然優しくなくて、俺様な男性がモテたりするじゃないですか!? あれはどういうことなんですかね?」
ああ、いるね。 男性でも女性でもそうなんだけど、恋愛においては優しくしたり、尽くしたりすることが自分の価値を下げることにつながって、逆効果だったりすることが多々あるんだよね。高飛車な態度のホストなのに指名が多かったりする。あれは高飛車な態度に出ることによって、自分に惚れることはとっても価値があると、女性に思わせてしまうんだよね。女性でも、尽くす女性ほど相手の男性に虐げられたりしてしまったり……。
「エバってるラーメン屋ほど行列ができる、みたいな話なんですかね。はあ~、なんか理不尽ですねえ。親切にすればするほど負のスパイラルにハマっていくなんて……。でも、僕もこれからそういう高飛車な態度に出れば、女性に粗末に扱われずに済むんでしょうか?」
うーん……、それはどうかなぁ。もう「いい人キャラ」が定着しているわけだから、急に態度が変わると「嫌な人になった」とか言われて嫌われてしまうかもしれないね。粗末に扱われることはなくなると思うけど、きっと他人が近づいて来なくなるかも。
「えー、じゃあ、僕はこのまま永遠に女性から粗末に扱われるんですか?一生、恋愛対象にならないと?」
きっと山本さんは「いい人ぶり」が徹底していないのかも。もし、本当に「いい人」だったら、粗末に扱われても怒らないと思うんだ。どんなに粗末に扱われても、腐らずに「いい人」を演じ続ける。そうすれば、その先に恋愛の機会も見えてくるかもしれない。 今はそこに至るまで我慢しきれずに、途中で逆ギレしてしまっているのが、実情じゃないかな? だから、どんなに粗末に扱われても、徹底的に「いい人」であり続けるというのが、山本さんへのアドバイスかな。きっと、そんな健気な山本さんに心を動かされる女性も出てくるはず。